1.学習塾と学力低下問題
2001年10月29日号
塾教育研究会(JKK)代表 皆倉宣之
来年度からの新学指導要領の実施を巡って、ここ数年「学力低下」問題が学会、教育界のみならずマスコミをも大いに賑わせ、政治問題にまで発展した。学力低下問題は、われわれ学習塾関係者にとっても重大な関心事である。なぜなら、塾や予備校からみても以前の子どもたちと比べていまの子どもたちの学力は落ちているとの印象を強く受けていることと、塾の拠って立つ根拠が一般的には子どもたちに学力をつけてあげる代償として授業料をもらうという構造になっているからである。
とはいえ、「学力」の定義がまちまちで、新学力観に立って考えるのか、それとも従来の偏差値を物差しにして考えるのかによって、かなり結論が異なってくるから厄介である。そのうえ、「基礎基本」とは何かという厄介な問題も包含されている。塾の側にいると三割削減や総合的な学習の時間の導入は、ややもすると学力低下をさらに加速させるものとして捉えがちである。
それは大方の塾長たちの学力の認識が、従来のテストで数値化できるものを頭においているからである。
しかし、その考えは矛盾する面もある。学校のゆとり教育が学力低下を招いているというのであれば、それを補うものとして子どもたちは塾通いをしているわけで、にもかかわらず学力低下が生じるのはなぜか。結局塾は学力低下を食い止めることができない、言いかえると学力をを上げるための塾通いは大した効果を上げていないことを証明していることになるのではないか。
したがって、私は単純にゆとり教育が学力低下を招くという論には与しない。問題はもっと深いところにあるのではないか。確かに少子化に伴う受験圧力の減少も一因ではあるが、勉強への興味関心が薄れていることの方が問題である。そしてその原因が、家庭の所得や文化度の違いという階層格差に根付くものであって、その結果学力が上位二割、中位四割、下位四割と三極分解しているという事実、ここに目を向けた教育改革でないと高校における教育困難校やフリーター問題は解決できないのではないか。中学校の定期テストでも、上位と下位とに二つのこぶができる成績分布現象は、もうこの段階から三極化が生じていること表している。機会の平等の保障が急務である。
(2001.10.29)
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